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コラム --> 001号

いつまで続くこの景気?
代表取締役   山 下 隆 蔵
 工作機械業界の需給ギャップがはっきりしたのは昨年後半のことだが、その後、 受注は一向に下がらず、いまやわが国の月間総生産能力の8倍以上の受注残をメーカーは 持ってしまったとみられる。有力専用機メーカーにおいては2年分の仕事を持ち、 新規の商談を受け付ける余地さえないところもある。
昨年(2004年)の各メーカーの 生産増加率(対前年比)はせいぜい20%で(30%増なら上出来)、受注の増率 (+45%)には遠く及ばない。各社の増産努力にも関わらず、納期の長期化が月々進行し、 中小工場の発注にかげりがではじめている。あわせて、急激な需要増の中で部 品、素材の高騰が起き、受注時の価格にあった原価の維持が不能になっている機種がある。 メーカーの値上げ姿勢とユーザーの値下げ要求のハザマで、流通商社 では「価格と納期の交渉、調整」が「技術提案営業」より優先課題となってしまった。

 なぜ、このような工作機械需要が拡大したのであろうか。最大の需要産業である自動車部品業界にあって 中部圏で体感しているユーザーの実態をのべよう。

 国内生産の自動車の台数は微増だが、海外生産分が急増している。本来海外生産分の部品は 現地生産・現地調達する予定であったはずであるが、現実は、日本で作って現地へ送っているものが 相当にある。特に重要保安部品、エンジン周りの高品質部品の現地調達化が遅れ、カーメーカーの 現地生産部品採用時のリコール懸念が払拭されないかぎり国内生産はまだ増えるはずである。 さらに加えて、自動車生産台数とは別の工作機械需要がここ10年に亘って発生している。 それは、新たに登場した新部品群である。ABS,O2センサー、コモンレール、電動パワステなどの 部品加工は従来の加工機とは違う機械需要を喚起した。また、あらゆる加工、組立、搬送、精度管理の面で 登場した新技術、新製品が生産設備需要の拡大に寄与したことはいうまでもない。

 現在の自動車部品用工作機械需要は海外設置用が中心となってはいるが、 (やがては現地調達されるはずの)海外用部品の当面の急増に対して部品メーカーは当初国内での設備投資を 渋っていたが、月々の納入指示個数の拡大を前に設備を強行した面もある。 かくして、自動車の海外生産増に見合う生産設備が、海外、国内の部品生産現場で平行して 設備されていることになる。しかし、海外生産の増勢があまりに急なため「重複投資」が問題にならず、 ひょっとするとある種の部品は長期間にわたって国内生産・海外組立の構図に収まるかもしれない。

 さて、今回の工作機械業界の好況(需給ギャップ)はいつまで続くのであろうか。

1990年バブル時との違いがまず指摘される。今回のユーザーの設備発注の動機は具体的な仕事(量)に 裏打ちされている(バブル時は、設備をすれば仕事が来るという「見込み設備発注」がかなりあった)。 また、今回は海外需要比率が高く、需要の根底には日本車の世界的評価があり、大きな事件が発生 しないかぎり、海外生産は伸び続け、国産工作機械の高原需要は1-2年は継続すると思われる。 メーカーの当面の課題は、生産能力の拡大ではなかろうか。


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